最近運動をしていません。
しかし、体重はかわりません。
そこで安心していたのですが・・・
あれれ・・横から見るとお腹に子どもがいるみたいに見えます。
おぉ・・これはマズイ・・
「運動しなければ」と考えた訳ですが、
今日は「クリスマス」ということで・・
昔々のクリスマスの夜の出来事を・・
人生で一度だけのチャンス
あの日も、とても寒い夜でした。
こんな片田舎の街でも、クリスマスというだけで何とわなしに浮かれた空気のせいか・・古い友人が久しぶりにこちらに帰ってきているという話を聞いたので、一緒に晩御飯でも食べようと、一緒に和食のお店に出かけました。
久しぶりに会ったせいか? クリスマスと言う夜のせいか?
いつもよりも饒舌な友人Aと、色々な馬鹿話をしながら愉しくお酒を飲みかわし、かなり酔いもまわってきた頃、友人が「あっ、刺身たべたい」と言い、お店の人に注文をしました。
まもなく二人の丁度真ん中くらいに、お刺身がのった白いお皿が置かれました。
友人Aは自分で注文したにも関わらず、箸もつけずに話しに夢中でした。
・・ふと・・左目の左下に、何やら不思議な違和感を感じました。
それは一瞬の出来事であったせいか、それが何なのか? その時は知るすべも無かったのです。
外は雪が降ってもおかしくないほどの冷え込んでいましたが、お店の中は適度な暖房と飲みすぎた熱燗のせいもあり、本当に気持ちよく酔っていました。
やや喋り疲れたせいもあり、友人Aに向けていた顔を正面に向け、さっき来たお刺身でも頂こうかと、箸を伸ばした・・・その時・・・再び・・何やらいつもとは違う違和感を感じました。
この時の感覚を正確に表現するならば、塗りたてのセメント床の上を素足で駆け抜けるような、何とも危うく頼りの無いものといえば、お分かりいただけるかと思います。
次の瞬間・・「えっ・・」・・箸の動きが止まります。
今しがた、箸で摘もうとした刺身の上で、白い物体が動いたのです。
一瞬、何かの見間違いかと思いましたが、どうも何かが引っかかります。
刺身に伸ばした箸を置き・・友人の話さえ聞き流しながら、しばらくその刺身に神経を集中していました。
ほどなく刺身の上に、白い1ミリほどの塊があることに気がつきました。
その瞬間・・その白い1ミリくらいの塊が、見る見るうちに細い棒状に変化しながら弓なりになり、その細い棒状の先が、さっきそれがあった場所から4~5ミリほど先に噛み付きました(正確には噛み付たように見えた・・ということです)。
そしてその白い何かは、噛み付いた先で再び1ミリ程度の白い塊となりました。
そう、この白い塊は、移動したのです。
こうなると、もうこの白い塊から、目を離すことができません。
友人の話にも上の空になりながら、今度はじ~っと見つめていると・・再び、その白い1ミリくらいの塊が、見る見るうちに細い棒状に変化しながら弓なりになり、その細い棒状の先が、さっきそれがあった場所から4~5ミリほど先に噛み付き、そこに移動しました。
そうしている内に、その白い塊は、刺身の左端から右端へと移動しています。
私があまりにも上の空で、空返事ばかり繰り返すので、友人もその異変に気がつきました。
友人も急に寡黙になり、その目はその一点を見つめます。
ついにその白い塊が、刺身の右端まで移動したときに、友人が「あ~これってもしかして寄生虫?・・」と、いつもと違い何とも不安そうな声で呟きました。
私も「たぶん・・寄生虫なんやろうけど・・こんなの初めて見たわ・・」と誰にとも無く呟くことしかできませんでした。
友人がこちらを覗き込みながら唐突に
「こんな話聞いたこと無い?」と言うので、私が「どんな話?」と聞きなおすと「サナダ虫って知ってるやろ?」
「あぁ・・人間にも寄生する寄生虫の?」
「そう、そのサナダ虫って、人体にほとんど影響を及ぼさないし、おなかの中で人間から栄養分を吸収するので、サナダ虫に寄生されていると太らないっていいう話やねんけど・・」
「・・確かにそんな話をきいたことある。誰やったかその方面で有名な学者がワザと自分にサナダ虫を寄生させているっていう話聞いたことあるわ・・」
「やろ~・・それで、サナダ虫って白色なんやろ? これも白いから、これってサナダ虫とちゃうか?」
「・・・サナダ虫だとしたら・・・えっ・・もしかして・・」
「そう!そのもしかしてやねん」
「ん・・」
「どう思う・・」
「どう思うって・・そらたしかに中年太りでお腹ぶくぶくやから、何とかせんとアカンといいう話はしたけど・・」
「こんなチャンスはもう二度とないで! 上手いこと行ったら運動しなくても勝手に痩せていくんとちゃうか?」
「た・・たしかに・・それは魅力的な話や・・」
「やろ~、んじゃ・・じゃんけんで負けたほうが、食べてみるってのはどう?」
「・・いや・・それはおかしい。 これはチャンスなのだから、じゃんけんで勝ったほうが食べるべきだと思うけど・・」
「でも、もしかしたらサナダ虫じゃないかもしれないし・・だとするとその危険性も考えると、やはりじゃんけんで負けた方が食べるべきじゃない」
「たしかに、これはサナダ虫じゃないかも知れない。 だけどもしかするとサナダ虫かもしれない。 やはりこれはチャンスととらえるべきであるから、やはり勝ったほうが食べるべきだ」
「いやいや、そんな屁理屈ばかりこねるから友人がおらへんねん!」
「それとこれとは話がちがうじゃないか? これをチャンスと捕らえることができないなんて君はかわいそうだ」
「あ~そんなこと言うかね~。いいよ!じゃあじゃんけんで勝ったほうが食べようよ」
「よし!それで決まりね」
「それでは、第一回サナダ虫を食べるクリスマス会を開催しま~す」
「んじゃ・・じゃんけん・・」
その時、それまで黙っていた友人Bが、
「お前ら・・ええ歳して、アホか・・そんなん食べたら死ぬで・・」
その一言をきっかけに再び、大の大人が寄生虫を食べる食べないで1時間ほど熱く議論したことはいうまでもありません。
いまでも、あの当時よりもぷっくりとかわいいお腹を見ては思います。
あの時あれを食べていたら・・
もしかして・・
いや、もうお過ぎたことです。
過去にとらわれず、前を見ていかないと・・。
あれから刺身を食べるたびに、あの白い塊を探しますが、アレ以来お目にかかったことがありません。
やはりあれは聖夜に訪れた奇跡だったのでしょうか。
ところで、今日はクリスマスですね。
今年のクリスマスも家族で愉しく過ごす予定ですが、我が家では・・いや私には、あの白い塊の誘惑に勝てそうにありませんので、クリスマスに「刺身」は買いません。
それでは、皆さまに聖夜の奇蹟が訪れることを・・・よいクリスマスをお過ごしください。
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今日の一言
「天からの、恵みそれとも、寄生虫」
今日の一曲
山下達郎「クリスマス・イブ」
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