色々と生活にのしかかり家計や事業を圧迫する「消費税」ですが、会社を設立することで消費税を一定の期間ですが免税することが可能になるかもしれません。
特に、消費税の増税が進む昨今においては、個人事業者のままでいるよりも、会社を設立したほうが節税できる場面もあります。
どんな場合に節税できる?
-
消費税については、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者については、納税義務を免除する事業者免税点制度が設けられています。したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります。
-
では、すでに売り上げが1,000万円を超えている個人事業者であった場合はどうでしょうか?・・・実はこの場合でも下記の要件を満たせば、個人事業者が法人を設立した第1期目及び第2期目は原則として免税事業者となります。
三つの要件
- 昨年・一昨年の個人事業者としての収入がいずれも1000万円を超えていること
- 資本金の額が1000万円未満(金100万円・資本金の額が1000万円未満の法人は原則非課税業者)であること
- 設立する会社が、このたび創設された「特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度」に該当しないこと
☆ 上記1~3に該当する個人事業者の人
節税のポイント
具体的な話で説明すると、
個人事業者が法人成りをすることで、最大・・会社設立後の2年間の消費税を免税してもらうこと(これを、消費税免税期間といいます)ができるかも~・・・と言うことです。
この消費税免税期間の2年間という期間を最大限享受するために考えなければいけないことは、
(1)個人事業者から法人へ移行する時期=会社の設立時期
(2)会社の決算期
上記(1)と(2)との関係です。
会社を設立すべき時期の検討
- 会社設立後、最初の事業年度の期間が1年未満であれば、12ヶ月に割りなおす計算が必要となります(1ヶ月未満の期間が生じた場合には1ヶ月とします)。
※ よって 3か月で売上が300万円であった場合は、 300÷3×12 = 1200万円が、年間の収入であると計算されます。 - 会社の税務申告の時期は、定款で定めた決算期より原則2ヶ月以内に行います。
つまり、上記各要件を踏まえて、会社の設立時期を検討すると、極論をいえば何時でも良いとなります。
会社の決算期について
消費税のことを考えた場合、会社の設立時期よりも、会社の決算期を何時にするのかを検討する必要があります。
具体的には、法人の決算期を決める際に、会社設立後の2年間の消費税免税の恩恵を最大限利用したいと考える場合には、最初の事業年度を出来るだけ1年に近くなるようにする必要があるということです(免税の期間は、2年間ではありません。・設立後の2事業年度です)。
以下、具体例で考えてみます。
会社の設立を平成26年の7月1日に行った場合
(ア)例えば、会社設立を7月に行い、会社の決算期を、会社設立後一年未満の毎年12月末日とした場合 → 設立後の2事業年度が、約1年と5ヶ月となります
(イ)例えば、会社設立を7月に行い、会社の決算期を、会社設立一年後の毎年6月末日 とした場合 → 設立後の2事業年度が、約2年となります。
上記を比較すると、(ア)よりも(イ)の方が、約7ヶ月分得をする・・ということになります。
また、決算期を何時にするかについては、売り上げの上がる時期を期末にするよりも、売り上げの少ない時期を決算期にするほうが税務上(経費を使う関係で)も有利となりますので、決算期を考えてください。
また、決算日後2か月以内に申告しなくてはいけないので、特にご自分で税務申告をするつもりの人は、その申告時期が繁忙期でない方がよいと思われます。
ということで・・・、個人事業で消費税を支払わないといけない売り上げがある場合には、会社の設立を検討しても良いかもしれません。