ところで・・・「消滅時効」は、ご存じのことと思います。
※ 消滅時効
一定期間行使されない場合にその権利を消滅させる制度のこと
•まぁ・・その消滅時効だが、通常の場合には債権者からの請求があってから、その債権が消滅時効の援用が可能なのかどうなのか?を検討することが多いのだが、最近多い相談では、「特に相手方からの請求は無いのだが、とりあえず消滅時効を援用してほしい」というものです。
•特に請求されているわけでもないのに、わざわざ消滅時効を援用するメリットがあるのでしょうか?
•相手方から特に請求されているわけでもないのに、あえて消滅時効の援用をしなくても良いのではないのか・・とも考えられるのですが、どうやら相談者には気がかりな事があるようだ。
その気がかりな事とは・・・
俗称「ブラックリスト」・・
•いわゆる「信用情報機関への登録」がされていることのようです。
•では、ブラックリストに載っている債権に対して、消滅時効を援用するとどうなるのでしょうか?
•まず、消滅時効の効果は遡求します。
•ここでいう「遡求」の意味ですが・・
•例えば、平成19年5月20日を返済日として、平成19年5月1日にキン10万円を借り入れたとします。
•しかし、本来の弁済期(お金を返す約束の日)であった平成19年5月20日には、お金を返すことができず、今日に至るまで、結局1円も返済をしていませんでした。
•消滅時効は権利を行使することができる時を起算点として、この起算点から進行する(民法166条1項))しますので、平成19年5月20日から自分の債権に基づき、債務者に「金を返せ」ということができたのですが、そのまま放置してしまっていた。
•この場合において、平成24年5月23日に消滅時効を援用して、同日相手方(債権者)に、その意思表示が到達したとします。
•そうすると消滅時効の効果が、本来の弁済期であった平成19年5月20日に遡って生じることとなるので、お金を返してはいないのだが、平成19年5月20日に弁済があったのと同じこととなります。
・・・と・・・言うことは・・・・
•つまり、「ブラックリストに載せる原因が消滅してしまう」ということになり、本来の考え方でいくならば、少なくとも信用情報への登録を直ちに抹消しなければならなくなると考えられます。
•この「ブラックリストから登録が抹消される」ことにより、今後・・例えば・・住宅ローンや車のローンなどの借入が可能となる道筋が開けるということになります。
•仮に、ブラックリストへの登録が、消滅時効の援用から5年間はなされるとしても、何もしなければ、ず~ット、ブラックリストに登録されたままよりは、メリットが大きいようだ。
•但し、相手方からの請求がないのに、「消滅時効を援用」するということは、場合によっては、
「寝た子を起こす」
ことにつながる危険性が大なので、本当に消滅時効を援用するべきなのか否かは、よくよく検討する必要があるものと考えています。
•まぁ、・・一人で悩まずにお近くの司法書士に相談してくださいね♪
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