昨今、一週間から1ヶ月程度の豪華な船旅を優雅に楽しむという旅行が人気あるらしいですね。
中々、そういう旅行にはいけそうにもありませんが、ホテルのような船でゆっくりと旅を愉しむ・・いいですね。
そのうち1年くらいかけて船旅を楽しみたいものです。
ところで、船で旅行中に急に具合が悪くなった場合などの時には、特別の方式による「遺言」を作成することができます。
もちろん、「自筆証書遺言」を作成してもかまいません(・・どちらかというと自筆証書遺言をお薦めしますが・・・)が、遺言書を自筆で作成できないときなどの場合、民法第978条に「在船者の遺言」という遺言の定めがあります。
在船者の遺言
「在船者の遺言」は、隔絶地遺言の一種で、「船舶中に在る人」が行える遺言です。
どんな場合に行えるのか?
船舶中に在る人が行えます。
※ 「船舶中に在る人」とは、乗組員でも、旅客でも、また、一時的に乗船している人でもかまいませんし、その船舶が航海中でも港湾に碇伯中でも行えます。
やり方
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船長又は事務員1名、及び、証人2名以上の立会いが必要(注1・注2)
(注1)・・証人には欠格事由(未成年者・被後見人・被保佐人・推定相続人(及びその配偶者)・受遺者(及びその配偶者)・直系の血族)があります。
(注2)・・事務員とは、「航海士」「機関長」「機関士」「船舶通信士及び命令の定めるその他の海員」をいいます -
遺言者が、遺言書を作ること(注3)
(注3)・・遺言者の自筆ではなく代筆でも良いが口頭遺言は許されません。
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遺言者、筆者、立会人、証人が各自遺言書に署名捺印すること(注4)
(注4)・・これらのうち署名捺印ができない人がいる場合には、立会人または証人がその事由を付記しておく必要があります(つまり、署名捺印ができない人でも証人となりうるということです)。
確認
民法第977条の伝染病隔離者の遺言については、家庭裁判所での確認の審判は必要ありません。
その他の注意点
在船者の遺言をした人が、普通の方式によって、遺言をすることが出来るようにになった時から、6ヶ月間生存するときは、在船者の遺言は、効力を生じません。
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ところで、
この「在船者の遺言」ができる状況ならば場合によっては、船に乗っていたって「死亡危急者の遺言」だってできてしまうのではないのか?・・・と考えた貴方!
とても素晴らしい着目点です。
これについては、色々と諸説ありまして、個人的にはできなくもないと考えていますが、後々のことを考えると船に乗っている場合は、「在船者の遺言」で行うべきです。
もっとも、「自筆証書遺言」が作成できるなら、それを作成してくださいね。
時に嵐に翻弄される木の葉のように、時に穏やかな陽を受けてまどろみの時を思う・・人生とは船で旅をしているようなものだ・・願わくばその航海が、後悔とならないように、明日の航路を考えます。
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