さて・・司法書士って何でしょうか?
•私が,開業した当時に,「貴方の仕事は?」と聞かれた場合に,「司法書士です」とお答えしますと,多くの方の反応は「おお!」と,いちよ何やら難しい仕事であろうかという漠然としたイメージでの反応をされることが多かったです。
•親しい方の場合には,その後に「それで・・何をしているの?」と,重ねて聞かれることもありました。
•最近は,もう少しはっきりとしたイメージを持たれる方が多くなりましたが,司法書士ってどんなときに利用すれば良いのかよくわからない方も少なからずいらしゃいます。
•これは,司法書士という仕事がこれまで「登記」というかなり特殊で,一般の方にはあまり普段の生活の中では,家を買うとか,身内の人に不幸があって,相続をしなければならない場合等,ほとんど方が,一生の内にそう何度も経験をするものでは無い場合(だけど非常に重要な場面ですが・・)に,人知れず(?)活躍しているからでした。
•又,司法書士は,昔から裁判所に提出する書類(訴状の作成・調停申立書・自己破産申立書の作成等)の作成も行っていたのですが,多くの司法書士は,「登記」が主な仕事で「裁判所に提出する書類の作成」に関しては,一部の司法書士は積極的に業務として行っていましたが,一般的には裁判事務関係業務を積極的に行ってきたとは,言えませんでした。
•しかし,平成18年に,司法書士に簡易裁判所での代理権が付与された以降に,多重債務の問題がクローズアップされ始めたことにより,「登記」業務を行わずに,(登記実務を行うことができない),「債務整理」を専門とする司法書士が増えました。
•「債務整理」を専門とする司法書士の一部が,全国的にTVで広告を行うことにより,良くも悪くも「司法書士」という名前が,広く認知されることとなったことは,皆さまのご承知のとおりです。
•司法書士が「債務整理専門」と名乗るのは,個人的にはどうか?
とも思いますが,良くも悪くも債務整理業務を通じて,司法書士という仕事が昔に比べて認知されるようになったことも事実です。
•司法書士は,「登記業務」の唯一の専門家であり,「裁判業務」については,昔から裁判書類(訴状・自己破産申立書等)の作成による訴訟等援助業務,そして簡易裁判所における訴訟代理人としての訴訟業務(債務整理もこれに含まれる)を行う,法律の専門家です。
•司法書士は登記に関する悩みは勿論,債務整理を含む様々な法律問題の悩みを聞くことから,依頼者様の権利を守るために全力でサポートを行います。
つまり「司法書士」とは?
•司法書士の仕事を簡単にご紹介致しますので,業務を依頼頂く場合の参考にしてください。
司法書士は,「登記?」の専門家です。
•司法書士は,不動産に関する登記や会社に関する登記に精通していますので,登記?に関しては司法書士にお任せください。
司法書士は,「裁判所に提出する書類作成」の専門家です。
•司法書士は,裁判所に提出する書類を作成することができます。
•司法書士は,昔から「本人訴訟」のお手伝いをしてきました。
司法書士は,「供託」の専門家です。
•供託って??? あまり聞き慣れない言葉だと思いますが,たとえば賃貸住宅の家賃を一方的に値上げすると言われたが,納得出来ない場合に,値上げ前の家賃を家主が受け取ってくれない等の場合に,受け取ってくれないからといってそのままにしておくと,家賃不払いで,明渡しを請求される恐れがありますよね?
•そんなときに,値上げ前の家賃を「供託」しておくことで,家賃を支払っている状態に擬制しておく必要があります。
•もちろん,最終的に家賃を値上げすることになったとしても,差額を差し入れる事で,家賃の滞納となることはありません。
•上記が供託の代表的な使い方ですが,それ以外でも色々と使われています。
「認定司法書士」って?
•司法書士は「登記の専門家」です。
•そして司法書士で,長時間の研修と考査試験を経て,法務大臣の認定を受けた司法書士は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。
•簡裁訴訟代理等関係業務を行う事ができる司法書士を「認定司法書士」と言います。
簡裁訴訟代理等関係業務とは??
簡易裁判所における
(1)民事訴訟手続,
(2)訴え提起前の和解(即決和解)手続,
(3)支払督促手続,
(4)証拠保全手続,
(5)民事保全手続,
(6)民事調停手続,
(7)少額訴訟債権執行手続及び
(8)裁判外の和解の各手続について代理する業務,
(9)仲裁手続及び
(10)筆界特定手続について代理をする
業務等をいいます。
•簡裁訴訟代理等関係業務は,業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した司法書士に限り,行うことができるとされています。
•司法書士高峰博文も「認定司法書士」です。
簡裁訴訟代理等関係業務を積極的におこなっています。
「訴訟の目的となる物の価額140万」の考え方
この140万円の考え方には2種類あります。
•Ⅰ 基準1 「請求する額(減額したい金額)」
•Ⅱ 基準2 「依頼者が受ける利益」
従来は,一般的に裁判所は前者を採用するとされておりました(平成20年11月10日判決、神戸地方裁判所)。
この裁判例では,後者の「依頼者が受ける利益」を基準にしてしまうと,依頼者が本来は,より利益を得られるはずなのに(140万円を超えて利益を得られる),司法書士が自己の代理権の範囲内で紛争解決を図ろうとして,依頼者の利益が害される(140万円以下に収める)事態を招く危険があることが理由に挙げられました。
ところが最近の判決では(平成21年10月16日判決・大阪高等裁判所)債務整理事件における司法書士の代理権の範囲において,債権者の主張する金額により代理権の有無を判断すべきであるという第一審の神戸地方裁判所の判断に対し,当事者が受ける経済的利益の金額により判断するという解釈もあるとされました。
つまり裁判官によって判断が違い、最近までどちらとも言えないといった状況で,何とも悩ましい事態となっていましたが・・・
ところで、この問題は平成28年6月28日に最高裁が、「債務整理を依頼された認定司法書士は、当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が金140万円を超える場合には、その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当」である・・・と判断されたことで決着がつきましたね。
とはいえ・・・
上記最高裁の判断に基づいても、「個別の債権ごとの価額」が140万円を超えていなければ、司法書士が代理人として相手方と交渉したり、訴訟代理人として活動できるので、司法書士が活躍できる場面はまだまだたくさんあると思います。
•是非,お近くの司法書士をご活用ください。