たまには、司法書士らしい話もしないと、
「あいつ・・仕事してへんのんとちゃうか?」
という、的確すぎる指摘をされているかもしれませんので・・・
今日は、司法書士業務をしていて「フっ・・と」思った疑問について自分なりの答えを考えてみたので、それについて書いてみます。
とはいえ、それほど大した話でもないんですが・・
貸金返還請求事件
今、私の事務所では・・・
「貸し金返還請求事件」の被告(訴えられた人)からの依頼
で訴訟を行っているのです。
原告(訴えた人)は、本件裁判において
私の依頼者である主債務者(お金を借りた本人)と、その金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約のこと)を締結していたのですが、これとは別に主債務者の家族と連帯保証契約(お金を借りた人が返さなければ私が代わりに支払いますという契約)を締結していましたので、主債務者と連帯保証人とを相手(共同被告)として「貸した金返せ」という裁判をされています。
まぁ、被告側にも色々と言い分があるので、ガッツリと争う予定になっています。
ここで考えることとは・・・
今、私は主債務者からの依頼で戦っていますが、では、主債務者の訴訟代理人である私が、連帯保証人からも同様に被告代理人として訴訟をしてほしいと依頼された場合に、私は連帯保証人の訴訟代理人としても訴訟活動を行ってもよいのでしょうか??
という疑問です。
なぜこれを考えるのか?・・・については、司法書士など法律の勉強をされている皆さまはおわかりだと思いますが、それ以外の人へ簡単な説明をさせて頂きますと・・・
例えば、連帯保証人が本件裁判の貸金債務を全額支払った場合を考えたとき・・・
連帯保証人は本来弁済する必要はなかったのに、主債務者が支払わないために、連帯保証契約に基づき主債務者に代わって弁済をしなければならなくなった場合・・・
この場合、弁済を行った連帯保証人は、自分が支払った金員を今度は主債務者に対して「返せ!」と言えることになります。
これを「求償権」といいますが・・・
連帯保証人が債権者に支払い、求償権を取得した場合・・・
連帯保証人が、今現在行われている裁判の原告に成り代わって主債務者に返済を求める構図となります。
つまり、
本件における共同被告間の立場を、突き詰めて考えれば、共同して訴えられている被告どおしで、利益が相反してしまう可能性がある!
と言うことになります。
このような潜在的に利益相反する被告双方の代理人を一人の訴訟代理人が双方からの依頼を受けて訴訟行為ができるのか??
という疑問が生じるわけです。
本件事件において共同被告人の訴訟代理が可能か?
「利益が相反している」という言葉について極端な説明をすると・・・
たとえば、裁判を起こした原告と、訴えられた被告・・この関係がまさに利益が相反している関係です。
同一の訴訟代理人が、原告と被告双方からの依頼を受けて裁判をすること・・・
こんなことは当然にできません。
ようするに、基本的な考え方としては
「利益相反関係にある当事者双方からの依頼は受任できない」
ということとなります。
これは間違いありません。
しかし、本件のような場合・・つまり、主債務者と連帯保証人が共同被告となっている場合・・・
このような場合にまで、杓子定規に基本的な考え方に捕らわれる必要があるのでしょうか?
たしかに、本件においても
すでに主債務者から訴訟委任を受けている以上、共同被告とはいえ「連帯保証人から私に対する訴訟委任は、形式的・潜在的には保証契約の原因となった金銭消費貸借契約の主債務者と利益が相反する関係にある」と判断せざるをえません。
しかし・・
私なりに考えた結果だけをお伝えすると、
仮に形式的・潜在的には主債務者と利益が相反したとしても、相手方(原告)との関係では利害が一致するときには、利益相反するという考えを緩やかに解すべきであり、連帯保証人からの依頼があればそれを受任できるのではないのか?
と考えています。
もっとも、
これについては異論反論(場合によっては、本件事件中で本筋の争とは関係のないこの部分での相手方からの主張等)も予測されるとことろではありますが、まぁ・・それはそれとして・・・皆さまはどのようにお考えでしょうか??
ところで・・・
「あいつ・・仕事してへんのんとちゃうか?」
という・・・
まったくもって的確な指摘について一言だけ言及しておくと・・・
「まぁ、あたらからずも遠からず・・・」
と・・・だけお伝えしておきます(T_T)
追伸
なお、本日のブログの表記中・・平易な言葉を使おうとするあまり、法律論的解釈上あいまいな表現がありますことをお詫びいたしますとともに、意図を汲み取りお許しくださいますようお願いいたします。
相談のご予約メールフォームはこちら
「有料電話相談」はこちら
今日の一言
「冬峠、越えて歩めと、ふきのとう」
今日の一曲
Led Zeppelin – Stairway To Heaven
コメントを残す